有休って、取得できる方は取得できるし、取得できない方は本当にできないです。
同じ会社なのに、部署によっても取得率が全然違ったりもします。
有休を取りたくても取れない、主な原因は2種類あります。
・有給休暇取得に理解のない上司、もしくは会社の雰囲気が取得を認めない。
・人手不足で取得ができない。
上記2つが、取得したくてもできない理由です。
この記事では、2番目の「人手不足で取得ができない」にスポットを当てて、どのようにしたら効率的にしっかりと有給休暇が取得できるかを、お話ししていきます。
そして、人手不足が理由で有休が取れないのにも、2つの原因があることをお話しします。
有給休暇が取得できない職場環境は、会社と上司に責任があります。
本来なら、管理者でもない、人事関係部署でもない方が、考えることでもありません。
ですが、会社や上司が動いてくれないなら、どれぐらいの採用で有給休暇がスムーズに取得できるようになるのか、一般社員の方も知る必要があります。
有給休暇を取得できるかできないかは、今後の人生を大きく左右すると言っても過言ではありません。
有給休暇を取得できる環境にあるのかどうかを知らなければ、定年退職するまで有休をしっかりと消化することができない可能性もあります。
- 管理者の方は、人手不足で有給休暇を取得できない理由による部下の退職を避けるため。
- 一般社員の方は、今後有給休暇が取得できる環境でないのであれば転職を考えるため。
管理者や人事関係部、そして一般社員の方は、上記のことをそれぞれ考えながら読んでいただけたらと思います。
Contents
人手不足で有給休暇が取れない。
僕の友人たちに、
「最後に取った有給休暇が、いつだかわからない」
なんてことを話す人が何人かいます。
理由を聞くと、
- 人がいない。
- 採用はしているけど、すぐ辞めてしまう。
この2つの理由が多いです。
実際、有給休暇が取得できない方が勤めている職場は、友人と同じような環境が多いと思います。
冒頭でお話ししたとおり、人が足りなくて有給休暇が取得できないのにも、2つの原因があります。
- 欠員が出ていて、担当の仕事全てに社員が配置できていない。
- 欠員は出ていないが、ギリギリの人数で有休が取れない。
上記の2種類のどちらかが原因で、有休の消化ができていないことがほとんどです。
そんなときは「曜日別適正人員配置」と「休暇要員」、この2つを調べて新たに採用をすることが大切になります。
人手不足で有給休暇が取得できない時に知っておきたい2つのポイント。
・曜日別適正人員配置
・休暇要員
適正人員配置とは?
適正人員配置とは、仕事に対して適正な人数を配置することです。
適正配置人数や適性要員配置とも言われています。
例えば、下記のような企業と社員がいるとします。
・1日8時間、週5日勤務。
・土曜と日曜が休み。
・5つの担務。
・有給休暇を各自20日付与されてる。
・お盆と正月に1週間の休みがある。
上記勤務体系だった場合、どこの企業でも下の表のように、仕事に人を配置しますよね。
仕事 | 担務1 | 担務2 | 担務3 | 担務4 | 担務5 |
---|---|---|---|---|---|
担当者 | Aさん | Bさん | Cさん | Dさん | Eさん |
仕事に対して一つずつ担当者が配置されているので、仕事が進まない、もしくはお客様へ迷惑をかけることは、基本的にありません。
5つの仕事に対して、5人が配置されているので適正人員配置のように見えますが、これは適正人員配置ではありません。
では、次はどうでしょう。
仕事 | 担務1 | 担務2 | 担務3 | 担務4 | 担務5 |
---|---|---|---|---|---|
担当者 | Aさん | Bさん | Cさん | Dさん | 欠員 |
Eさんが退職してしまったため一人欠員となり、担務にも穴が開くようになってしまいまいした。
こうなると、他の4名で担務5をフォローしないといけません。
Aさん~Dさんの4名にはそれぞれの仕事があり、その仕事をしながらのフォローです。
単純計算ですが、全員が8時間勤務なので、Eさんの穴を埋めるため、一人2時間分の業務量が多くなります。
毎日2時間分も仕事が多いのって、大変ですよね。
定時で終わらせるのは、厳しいです。
Eさんが辞める前も辞めた後も、なぜ適正人員配置ではないのか?
5つの仕事に5人しかいないので、有休を申請すれば他の4人に迷惑がかかると思ってしまいます。
これでは、有休を使いたくても、なかなか使うことができない環境となってしまっています。
休暇要員配置とは?
土曜や日曜などの会社の休日ではなく、働く社員が心身ともにリフレッシュする有給休暇を取得するために必要な人員のことを、休暇要員と言います。
適正人員配置でお話しした、下記のような配置なら、会社の休み(土日)のみでしたら対応も可能です。
仕事 | 担務1 | 担務2 | 担務3 | 担務4 | 担務5 |
---|---|---|---|---|---|
担当者 | Aさん | Bさん | Cさん | Dさん | Eさん |
働いている方には、平等に有給休暇が付与されます。
5担務の5人雇用では、有給休暇を消化することは難しく、取得しようとすれば「人が足りない」になってしまいます。
本来なら下の表のように、休暇要員も含めて配置するのが適正人員配置になります。
仕事 | 担務1 | 担務2 | 担務3 | 担務4 | 担務5 | 休暇要員 |
---|---|---|---|---|---|---|
担当者 | Aさん | Bさん | Cさん | Dさん | Eさん | Fさん |
「人手不足有給休暇が取れない」の項でもお話ししましたが、有給休暇休暇が取れない職場や部署には、
- 欠員が出ていて、担当の仕事全てに社員が配置できていない。
- 欠員は出ていないが、ギリギリの人数で有休が取れない。
のどちらかになります。
1番が理由の場合は、欠員の補充と、それに合わせて休暇要員の補充が必要です。
2番が理由の場合は、休暇要員の補充が必要になります。
欠員の補充は、仕事量を時間換算する仕事量換算によって算出された人数で、採用活動をどこの会社でも行っているはずです。
担務一人当たりの仕事量は、職種や業務によって変わってきますので、仕事量換算については、この記事ではお話ししません。
次の項で休暇要員の算出方法をお話し、有給休暇を取得できる人員配置と休暇要員の算出方法をお話しします。
休暇要員の算出方法。
仕事 | 担務1 | 担務2 | 担務3 | 担務4 | 担務5 | 休暇要員 |
---|---|---|---|---|---|---|
担当者 | Aさん | Bさん | Cさん | Dさん | Eさん | Fさん |
この表を見て
って思った方もいると思います。
企業としては、できる限り人件費を抑えたいのですよね。
1人で済むなら、1人の採用で抑えたいのが本音です。
今回、例とした企業は、
- 1日8時間、週5日勤務。
- 土曜と日曜が休み。
- 5つの担務。
- 有給休暇を各自20日付与されてる。
- お盆と正月に1週間の休みがある。
としています。
この場合は、1人の休暇要員を増やすだけで、最大1人20日の有給休暇が取得できるようになります。
自分の所属する部署をイメージしながら読んでいくと、わかりやすいと思います。
有給休暇を消化するための、一週間の最大付与数の算出方法。
それを調べるためには、公式があります。
社員数×20日÷年間の合計週
これが休暇要員算出の基となります。
では、この算出方法に当てはめながら説明していきます。
まず社員数は5名なので、社員数のところは「5」になります。
次に「20日」ですが、この数字は有給休暇の1年間に付与される最大日数の「20日」になります。
そして、最後の年間の合計週。
端数の日数を切り捨てると、年間の合計週は52週になります。
そのうち、有給休暇を付与できない週があれば、その分を引いていきます。
今回の例でいくと、お盆と正月休みには会社自体が休みになりますので、有給休暇は付与できません。
52週間から2週間を引いた、「50週」になります。
以上の説明から、数字を当てはめると以下のようになります。
― | 社員数 | × | 有休数 | ÷ | 週合計 | = | 週付与数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
算出方法 | 5 | × | 20 | ÷ | 50 | = | 2 |
社員が5人いる場合、一週間に2日付与することによって、合計100日分の有休が消化できます。
6人で計算した場合、週の付与日数が2.4日となります。
端数で付与日数を与えることはできないので、繰り上げて3日になります。
繰り下げると有給休暇を消化できなくなる可能性があるので、必ず繰り上げてください。
有給休暇の完全取得義務化が法律で定められた場合、有給休暇は取得しないといけなくなります。
企業としては、社員からの申請を待つだけではなく、あらかじめ週に何日間付与できるかを知らせておくと、より取得申請がしやすい環境になります。
休暇要員算出のための、曜日別適正人員配置表の作成方法。
配置表がなければ、業務の効率化、人件費抑制、有休の取得促進はできません。
これがなく勤務指定を作成していると、
- 有給休暇が取得できていない、もしくは全てを取得しきれない。
- 残業時間が以上に多い。
などがあります。
作成していない場合は、一度作成してみことをおすすめします。
次で説明していきます。
わかりやすく、5名5担務の曜日別適正人員配置表を作成します。
仕事 | 担務1 | 担務2 | 担務3 | 担務4 | 担務5 |
---|---|---|---|---|---|
担当者 | Aさん | Bさん | Cさん | Dさん | Eさん |
前段で算出した、5名の週間最大有休付与日数は2日でした。
それを、作成した曜日別適正人員配置表に入力すると、以下のようになります。
適正 配置人数 |
0 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 0 |
曜日 | 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
日勤 | 0 | 5 | 5 | 5 | 4 | 4 | 0 |
土曜休み | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 |
日曜休み | 5 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
有給休暇 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 |
その他休暇 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
社員数計 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 |
過不足 | 0 | 0 | 0 | 0 | -1 | -1 | 0 |
有給休暇の取得日数2日は、木曜日と金曜日の欄に1日ずつ設定してあります。
設定日は他の曜日でも問題ありません。
有休付与日を設定してみると、木曜と金曜にマイナス1と人員不足が出ています。
このマイナスが、実際に取得することができない弊害となっていることがわかります。
曜日別適正人員配置表を作成したことで、はじめて有給休暇が取得できる職場環境作りの準備が完了です。
上記の表で、木曜と金曜に取得してもらう場合、2つの選択肢があります。
- 欠員が出る状態で、残業対応で取得。
- 休暇が取れるように、新たに採用する。
短期間の対応なら、残業対応でもいいと思います。
ですが、この判断はあまりよろしくないです。
長期的に見ると、有休を取得するたびに残業が発生する、正常な業務運行とは言えない状態が続きます。
- 企業側は、残業代が発生するから有給休暇取得を促進したくない。社員のモチベーション低下や離職につながり、業績が悪くなる可能性がある。
- 労働者側は、取得するたびに他の社員が残業になることが精神的な負担となり、モチベーション低下、離職につながる可能性がある。
ここでは、新たに採用する判断が良策となります。
採用する際に、何人採用すればいいのかを、次の項で見ていきます。
曜日別適正人員配置表からみる、新規採用人数。
前段の表を見ると、不足している日数は2日のみです。
1人採用で十分だと思いますが、ここで一つ注意したいことがあります。
社員数が増えれば、その分付与しなければいけない週間休暇付与日数に変化が出ます。
計算をすると、
― | 社員数 | × | 有休数 | ÷ | 週合計 | = | 週付与数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
算出方法 | 6 | × | 20 | ÷ | 50 | = | 2.4 |
社員5人の時より、週付与数が0.4日増えています。
採用すれば、有給休暇を消化しないといけない日数が増えます。
ここで新たに、曜日別適正人員配置表を作成します。
作成したのが、以下のとおり。
適正 配置人数 |
0 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 0 |
曜日 | 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
日勤 | 0 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 0 |
土曜休み | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 |
日曜休み | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
有給休暇 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 |
その他休暇 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
社員数計 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 |
過不足 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
新たに1人採用すると、社員数が6人となります。
先ほど、算出した週付与日数は2.4日です。
0.1~0.9が算出結果として出た場合は、繰り上げるので2.4日は3日となります。
上記表にも、水曜日を新たに付与日とし設定してあります。
6人で計算した場合、週の付与日数が2.4日となります。
端数で付与日数を与えることはできないので、繰り上げて3日になります。
繰り下げると有給休暇を消化できなくなる可能性があるので、必ず繰り上げてください。
月曜日と火曜日は過不足なしとなっていますので、週5日の8時間雇用をしなくても、週3日で雇用すれば無駄な人件費を抑制することが可能になります。
今回の例では、新たに1日8時間勤務、週3日の労働契約を結んだ形で雇用したことにしています。
その場合は、土日休み以外に2日休みになるので、「その他休暇」という欄の月曜火曜に取得するようにしています。
曜日別適正人員配置表、実際に作成したものと注意したいこと。
より詳細に作成したい方は、下の表を参考にしてください。
以前友人に頼まれ作成し、今も使用されているものです。
勤務時間帯の項目を変えれば、どの職種でも使えると思います。
少し細かいですが、これぐらいの表は必要かなと思っています。
人数だけ入力し直せば、長い期間使えるので便利です。(部課名、役職は適当に名称を付けています)
1~4係まである場合は、各係ごとの配置表を作成することで、どこに問題があるかが把握できます。
作成時の注意点。
・お盆や正月休みが全社員固定されていないシフト制の場合は、その日数分を20日に足してください。
・20日で計算せず、前年保有分のみの有休を消化させたい場合は、全社員の保有日数の合計を年間週合計で割って算出してください。
・表を作成しても個人ごとの消化日数は、企業と労働者双方で管理する必要があります。
まとめ:有給休暇を取得しやすい環境作りのために、配置表作りは必要。
ですが、慣れると簡単に作成できますし、絶対に必要なことです。
有給休暇は申請行為になるので、申請しない社員の意識の問題という方もいます。
でも、実際には有給休暇が取得しやすい雰囲気ではない場合もあります。
どちらかと言えば、取得しにくい雰囲気があり、取得しやすい職場作りができていないのではないかと思います。
職場環境、雰囲気をよくするように旗振りをするのは、管理者などの経営側です。
「取らせられない」と一言で終わらせず、一度配置を確認してみてください。
一般社員の方は、有給休暇が取得できないと諦めるのではなく、この記事で紹介したものを会社で作成し、上司に意見具申してみるのもありだと思います。
ただ、それすらも聞き入れてくれない会社なら、有給休暇をしっかりと取得させてくれる企業へ転職するのも1つの選択肢です。
この記事が、有給休暇取得促進の参考になればと思い書きました。
では、また〜。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この記事が少しでもお役に立てれたらうれしいです。
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